鳥籠の中の運命。
「啓介様…」
何時からいた…?
先程までの会話を聞かれたか…?
冷や汗が一筋流れた。
「あぁ、翠」
しかし、私の心と打って変わって啓介様は私に笑顔を向ける。
その笑顔を見た瞬間、バレてないことに安心した気持ちと、やるせない気持ちで一杯になる。
バレたらバレたで後ろに立っている彼女が自分のモノにできるかと、少しは思っていた自分に呆れる。
俺は何を望んでたのか…。
啓介様に丁寧に頭を下げた。
「啓介様、この度はおめでとうございます」
よく思ってもないことを言えたもんだと自分を褒めたいくらいだ。
「ありがとう、翠。
翠はこれから私の屋敷に入ることだし、これからもよろしく頼むよ」
「…はい。では」
もう一度深々と頭を下げると、控え室を出た。