鳥籠の中の運命。
朝食も終え、縁側に腰を降ろすと彼女は桜をじっと見つめる。
「一花様、お茶のおかわりは?」
「貰おうかしら…」
「かしこまりました」
彼女の湯呑みにお茶を注いでいると横から視線を感じる。
「どうされました?」
いつもなら私なんて見ずに桜の木を見ているのに…。
「……翠」
「はい、なんでしょう」
「ごめんね…」
彼女の目は悲しそうだった。
「なんの謝罪ですか?」
彼女の謝罪の理由に見憶えがないので直球で聞く。
「ううん…何でもないわ」
しかし、彼女は謝罪の訳を口にしなかった。
「気になるのですが」
私がいない内に何かしたのか…?
悪戯…?
しかし、彼女の性格上そんなことする訳がない。
では何だ?
「気にしなくていいわ、それより」
「…はい」
誤魔化されたことに気付いたが、主が逸らすのだ、
もう追求することはしなかった。