鳥籠の中の運命。
「こんな家柄だもの、小さい頃からこうなることなんて覚悟していたわ。
けど、覚悟していても時期が近づいた今…このまま逃げてしまいたいと思ってるわ」
私は知っている。
こんなことを言う彼女だけど、ちゃんと分かっているのだ。
「逃げる術も知らず、必死に逃げようとも考えてないのに……私ったら今更何を言ってるのかしら…」
自分の立場を。
「ここはまるで鳥籠よ…籠の中の様に狭い世界で過ごしていくことしかできない…」
「一花様…お茶が冷めますよ」
そんな彼女を私が助け出すことなんてできない。
私はただの彼女のお付きだからだ。
彼女が決して悲しがっていても、私はただ側にいて彼女が微笑むのを待つしかできない。
「…そうね」
それがお付きとして10年、彼女の側で私がしてきた事だ。