鳥籠の中の運命。
長い廊下を歩いていると、後ろからか細い声に声を掛けられた。
「雛田さん」
「あぁ…佐川さん」
振り返っている体制を佐川さんに真っ直ぐと向ける。
「どうされました?」
「あの……荷造りは済まされたのですか?」
佐川さんの不安そうな目に少し口元が緩む。
28にもなって心配されるとは…私もまだまだだ。
「佐川さん…明後日は一花様が不二家へ嫁がれる日ですよ?
私が不備を見せると思いますか?」
ちゃんと手配をして、私の部屋にはもうトランク1つとベッドしかない状態だ。
「思ってないわ…でも、お嬢様も貴方もこんな運命かわいそすぎるわ」
佐川さんは、目の上に涙を溜めた。
この人には随分お世話になった。
「佐川さん、身体に気をつけて」
ニッコリと笑うと、体制を元に戻し、真っ直ぐの廊下を静かに歩いた。