今日から、幼馴染まない。
振り向くと晃がいた。
「・・・・・・・・・・・・おう」
晃は高校で1番仲の良い、いわば親友。
なのに、晃に対するこの複雑な感情はなんなのだろう。
親友なのに、嫌な事など1つもされていないというのに、晃に会うのが何か少し嫌だなと感じた。
それでも、『帰れ』と言うのもおかしな話で。
だって、ケンカしてるわけでも何でもないし。
いつも通りオレの部屋で遊ぶべく、エレベーターに乗り込み、自分の家がある階のボタンを押すと
横からすっと晃の手が伸びてきた。
そして、晃の人差し指が優衣の家がある階のボタンに触れた。
「優衣のお母さんがさ、『優衣の送り迎えしてくれるお礼に、夕飯食べに来て』ってさ。 優衣んち、今日すき焼きなんだってさ。 つか、一緒に登下校なんか、彼氏なんだからフツーなのに」
晃が、眉を八の字にして、それでも嬉しそうに笑った。
晃は、オレの家に遊びに来たわけではなかった。