今日から、幼馴染まない。
マンションの入り口前でチャリに跨りながら優衣を待っていると
「ゴメン、待ったよね」
優衣が、松葉杖をせかせか突きながらやってきた。
「転ぶと大変だから、そんなに急がなくていいよ。 つか、おじさんとおばさんにバレずに出てこれた??」
松葉杖を優衣から受け取り、小さく折り畳み、カゴに入れた。
「匍匐前進したさ。 床を這って来たさ」
『ふふん』と得意げに鼻を鳴らせると、おぼつかない足でふらつきながらチャリの荷台に腰を掛ける優衣。
優衣の手が、オレのシャツを握った。
「しっかり捕まってろよ」
地面を蹴り上げ、勢い良くチャリを走らせた。