お隣さんは元カレ?
鍵を開けてドアを開くと、有馬もスエット姿だった。
「おっ、サンキュー」
ニカッと笑う有馬に対して、
菜実は少し引きつった顔で渡す。
「……どうぞ」
「マジ助かったぁ〜」
菜実が石鹸を有馬の手の上に置いた時、菜実の指先と有馬の手のひらが少し触れる。
すると、ボトッ…と石鹸が落ちる。
「ちょっと〜しっかり受け取ってよね?」
「あっ…悪い」
手を引いてしまったのは、有馬の方だった。
「じゃ…」
「おー…サンキュ」
「別に…」
二人はそう交わすと、菜実は部屋の中に入る。
有馬は手のひらの石鹸をぎゅっと握った。
「俺…なんで、手…引いた?」
首を傾げて、有馬も部屋の中に戻る。