お隣さんは元カレ?
彼女と、あの頃
ある日の仕事帰り菜実がアパートに着くと、有馬の部屋の前で手すりに寄りかかってる男の人がいた。
……有馬の友達?
この人も軽そう。
そう思いながらチラッと見た時、相手と目が合ってしまう。
「……あっ!」
「あ〜こんちわっ」
「こんばんは…」
その男の人は、有馬の引っ越し日に会った有馬の友達だった。
「お隣さん確か…草太の元カノだっ」
「あー…はぁ」
それ、あんまり言わないで欲しい…。
「俺、雄二っ、よろしくどうも〜」
「どうも…有馬待ってるんですか?」
「そうっ」
菜実が腕時計の時刻を見る。
私も友達と食事して帰って来て、8時過ぎてるし…。
「有馬も誰かと食事してきてるんじゃ?連絡してみたら…?」
「あーいいのっ、多分デートだから、どうしても借りたかったDVDあったから待ってるだけだし」
「あー…デート、じゃぁ遅いかもですね…」
そう言って鍵を穴にさした所で、菜実はハッとして雄二を振り返る。