お隣さんは元カレ?
「俺も…そうかもとは思ったけど、でも…あの頃の俺にはそれで…向かえなかったっていうか…」
「……っ」
「連絡するきっかけが、その後も見つけられなくて…宮崎からも連絡はなかったし、俺らはここで終わりなのかなって…思った」
有馬の言葉を聞いて、ゆっくり瞬きをする菜実。
「それで…連絡くれなくなったんだ…」
「うん…」
そうだよ。
私だって、悪い…。
「バカ…だよね?私、今更こんなこと聞いて…」
「俺も…悪い、でも…もう……終わったことだろ?」
有馬は静かに、そう口にした。
有馬の言葉にハッ…として、菜美は視線を落とす。
「うん…そだね、もう…終わったことだった」
「うん、じゃぁ…俺もう中入るわ」
「うん…」
「……おやすみ」
菜実は仕切りを見つめて、自分の目が潤んでることに気づく。
「……おやすみ」
そして有馬の部屋の窓が閉まる。
潤んだ菜実の目から、一粒だけ頬に涙が流れる。
あの頃。
泣かなかったからだ。
もう…遅かったこと。
今、気づいた。
やっと…失恋できたのかな?私…。