お隣さんは元カレ?
チラッと有馬の横顔を覗くと、タイミング悪く有馬もこっちを見ていた。
「……っ!」
二人はパッと視線をそらす。
すると有馬が上に着ていたスーツを脱ぐ。
「どうしたの…?」
「……ん、これ被ってけよ?俺はカバン乗せてくし」
「えっ!?い…いーよ!」
「けど、いつまでもこうしてるわけにはいかないだろ?」
「でも…」
「多分…晴れない…」
「……っ」
あの日と…同じ言葉。
菜実はもう一度雨空を見上げる。
少し迷ったあと、有馬のスーツの上着を受け取る。