また、君に会いたい。
「で、なんで連絡もなしにいなくなったんだよ?」
空き教室に入ってすぐ、質問された。
「えっと・・・ごめん。それは私にも分からない。」
「は?お前なにってんだよ!」
・・・言わなきゃいけない。記憶喪失だって事を。
まだ誰にも、友梨華にも言ってない。
だから、すごく緊張する。
「・・・あ、あのね、・・・私、き、記憶喪失になってて、その・・・過去の事覚えてないの。だから、細谷君や・・・その潤?って人の事覚えてないの。」
「は?」
細谷君がとても驚いてる。
・・・そりゃあそうだよね。
「ほ、本当に俺たちの事覚えてないのか?」
「うん。」
「そっか。・・・ごめんな。教室であんな事言って。」
「ううん。全然大丈夫!」
そもそも今だに記憶を思い出せない私が悪いしね。
「あのさ、覚えてた事とかある?」
「えっと、自分の名前とあの人の事だけを覚えてた。」
「あの人?」
「んーと、名前は分からないけど、顔とかちょっとした仕草とかだったら覚えているんだよね・・・あと、私がその人を好きだった事も。・・・あ、前の学校の写真とかある?もしかしたら少し思い出せるかも!」
なぜ、名前とあの人の事だけ覚えていたんだろう?
ずっとそれが知りたかった。
「・・・七海が言った人ってこの人だろ?」
そう言って細谷君がスマホを見せてくる。
そこに映っていたのは、
あの人だった。