見つめないで勉強しなさい! ~一途なチャラ男くんに愛されました~
「カナちゃん、ちょっとお願いがあるんだけどな?」
「どうしたの?せんせー?」
「ちょっとこっち…」
「ん?あれ、あれ」
どこ行くのせんせ?と訝しむ多希を無視して、わたしはカナちゃんを反対側に移動させて手を繋ぎ直した。
これでカナちゃんを挟んで多希と距離を保てたわけだ。
バリケード代わりにしてごめんね、カナちゃん!
けど、カナちゃんはなんだか嬉しそうに笑って、私と多希の手をそれぞれの手でぎゅっと握った。
「なんだか、お父さんとお母さんとで歩いてるみたーい!」
うっ。
「言われてみれば。先生と仲良し家族…悪くないな」
『ねー!』と相槌を打って、多希はカナちゃんとルンルンで手を振って歩き始めた。
まぁ手を繋がれるよりましだわ…。