見つめないで勉強しなさい! ~一途なチャラ男くんに愛されました~
「待った?」


なんて言いながら笑顔でやってきた多希は、宣言通り五分も待たせなかった。


「早いなぁ。髪、ちょっとは乾かしてきたの?」

「ぜんぜん」

ふるふる、と振ってみせると、雫が飛んできた。

「つめたッ、もう、風邪ひいちゃうって」

「そんな暇ないよ」


と、多希は私の手をつかむなり、すたすたと進みだした。


「早く行かないと!花火終わっちゃうよ」


「…もう…っ」
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