見つめないで勉強しなさい! ~一途なチャラ男くんに愛されました~
「どうしたんですか?急に」
「いやなに、たいしたもんじゃねぇが、差し入れ持ってきたんだ」
と重さんが助手席から出してきたのは、子どもの頭ふたつ分はあろうかという、大きなスイカだった。
「休憩の時にでも食ってくれや」
「わぁ!すみません、お気遣いいただいて」
「いいんだよ!花珠ちゃんには無理言って世話になってんだから!」
と片手でスイカを抱えて、重さんは会館の入口をまたいだ。
「おーいガキども!ちゃんと勉強してっか?…っと、どこのでっけぇ小学生かと思ったら、合田んとこの多希じゃねぇか!」
「お、重さん」
多希をまじまじと見上げると、重さんはニヤと笑った。