タトゥーと失った記憶
タトゥーと始まり


村の 燃える物 全てが
燃やし尽くされていた

その 焼け野原となった 村の真ん中で
男は 一人 呆然と 立ち尽くしていた

「ど どうして 俺は こんな所に?」

呟き 辺りを見渡して男は ギョッとした

地面には 黒焦げと化した 村人達の屍が
辺り一面 無造作に 転がっていたからだ

その 村人達の 無惨な姿と 黒焦げの
屍から 漂う異臭が 男の鼻を突いた

「うっぷ」

思わず 吐きそうに なるのを 堪えて
右手で 口を押さえると よろめいた


そして 男は この 地獄絵図の様な
風景に 確かに 見憶えがあった

「いや でも あの村は もう ・・・」

ゴクリと唾を飲み 歩き出そうとした時
何かが 男の右足に 絡みついてきた

「ん? 何だ?」

歩みを止め 足元に 視線を落として
男は 仰天した・・・

何故なら 何かが絡みついたのでは 無く
黒焦げになり 屍だと思っていた 村人が
自分の右足を 掴んでいたからだ

「うわっ!!」

思わず 叫び声を上げると 飛び退いた
その弾みで 男の 右足を掴んでいた
村人の腕は いとも 簡単に折れた

「カラン カラン」

折れた腕は 乾いた音を 立てながら
木の棒の様に 地面を 転がっていった

「ハァ ハァ」

男は 後退り 再び ゴクリと唾を飲んだ
額から 汗が滲み出してきて
胸の鼓動が ドクドク 高鳴り
足は ガクガクと 小刻みに
震え出していた

一刻も早く この場から
立ち去りたい 逃げ出したい
それが 男の心情だったが 震える足は
男の 言う事を 聞いてくれなかった…

その時だった

「た・すけ・て・くれ・・」

途切れ途切れの 声が 聞こえた気がした


「誰か 居るのか?」

辺りに 聞こえる様に 少し 大きな声で 問いかけ 暫く待ってみたが
反応は無かった

気のせい だったかな?
そう 思いながらも 男は半信半疑で
声が 聞こえた方へと 歩き出した


「誰か 居ないか〜?」

多分 こっちからだろう
そんな 不確かな 感覚を頼りに
歩いてる時だった
瓦礫の下敷きになり 助けを 求めている
村人を発見したのは・・・


男は 急いで 村人に 駆け寄った
「大丈夫ですか?」

瓦礫を 持ち上げようと すると
村人は 首を横に振りながら
力の無い声で 呟いた

「私は もう助かりません」

「何を言ってるんですか!まだ
分かりませんよ!」

男が 瓦礫を持ち上げようとした
その腕を 村人が 掴んだ

「私は 助かりません・・・
せ せめて ・ せめて・・・」















































































































































































































































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