輝照天欠-輝き、照らす、天にありし、欠かせぬモノ-
10日後


深い深い深い深い深い深い深い深い深い深い深い深い森の中、いつもなら鬱蒼と生い茂る木々の僅かな隙間から差し込む月明かりが差し込まない夜のこと。

女の子と男の子が話していました。

「僕はその人に聞いたんだ『このお金で月を買えますか?』ってね」

男の子が言っているのが聞こえます。

「それでそれで?」

女の子が言っているのが聞こえます。

「そのおばさんはこれと林檎を渡しながら言ったんだ『はい、これで月はあなたのものよ』ってね」

男の子が林檎をかじっているのが聞こえます。

「そうなんだぁ〜」

女の子が林檎をかじっているのが聞こえます。

「だからこれを君にあげるよ」

男の子がはしゃぎながら言っているのが聞こえます。

「わーホントにぃ〜ありがと〜」

女の子がはしゃぎながら言っているのが聞こえます。


暫くして
「見えないね〜」
と言う二人の声が聞こえます。
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