初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
会話もないし、もちろん目も合わせない。

今にいたってもなお、冷めきったカップル以上に冷めた空気がわたしたちの間には漂っている。


実は、散々変態呼ばわりしたあと、ついに耐えきれなくなったわたしは泣いてしまった。

お嫁に行けないとはさすがに言わないまでも、それに等しいダメージは食らったわけで、そのダメージが具現化した結果が涙だったという、そういうわけだ。

でも、アンダーパンツを履いていなかったわたしもわたしだけど、百井くんだって、あそこまで詳細にパンツを語らなくてもよかったのにと責任転嫁する気持ちがあるのは否定できない。

いくらでも言いようはあっただろうに、どうしてそう、言ってほしくないことには言葉足らずじゃなくなるんだろうか……。

彼のその線引きが全然わからない。


そんなことを延々と考えつつ、わたしは体育座りをした体に彼のブレザーをかけて防御し、その上からひざを抱え込むようにして腕を回して、ひざ頭にあごを乗せた。

そして、ワイシャツを腕まくりして片付けに勤しむ百井くんの動きをじっとりとした目つきで追う。

じーっ、じーっ、じーっと、それこそ瞬きも忘れるくらいに。
 
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