初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
けれど、そこまで言って、これじゃあどっちが暴君なのかわかりゃしないと気づいたわたしは、百井くんが本気で怒りだす前に、いそいそと口を閉じることにした。

すっかり忘れていたけど、百井くんは俗に言うヤンキーというヤツだ。

いくら恐怖心は薄らいだとはいえ、いつまた「テメェ……」とヤンキー語をぶり返すかわからない。

ちょっとは普通に話せるようになって、意外とツンデレなのが多少可愛く思えてきたっていうのに、そこの部分をヤンキー色で塗り潰されるのは、なんだかもったいない気がする。


「ごめん、完全下校までやっていいよ」

「サンキュ」

「うん」


そうしてわたしは、百井くんがきりのいいところで片付けを終えるのをおとなしく待つことにした。

実はさっきから、早く帰りたい気持ちとは別に、こんなにせっせと動く百井くんを見るのは新鮮だなと思っていたところだったりする。

それは、教室での百井くんは、授業中以外は寝ているかヘッドホンをして話しかけるなオーラを放っているかのどちらかで、休み時間はいつの間にかふらっと姿が見えなくなっていることが大きい。
 
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