初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
たぶん180㎝はあるだろう長身にも関わらず、忍者さながらに気づけば姿がないのが毎日のことなので、とどのつまり、百井くんがこんなにも動く姿を見るのは初めてで、とても興味をそそられたからだ。
男子なら体育の授業中に動く百井くんを見られるだろうけれど、あいにく女子は授業が別。
2学年は4クラスある。
わたしたちC組は隣のD組と合同体育で、男子と女子とで授業内容がかぶらないように調整して授業を行うのが、うちの高校で取っている体育授業のシステムだ。
A組B組、他学年も、それに準ずる。
だから、女子のわたしにとっては百井くんのヤンキーらしくない姿はとても興味深いものであって。
あんなに高いところにも軽々手が届くんだなぁと、そういう部分で〝男の子〟を感じたり、ワイシャツの腕まくりってけっこうドキドキする……なんて思ったりと、これがなかなかに新鮮だ。
「ところで百ノ瀬の下の名前ってなに」
すると、唐突に百井くんが質問してきた。
「へ?」
「オレ知らない。百ノ瀬なんなの」
ていうか、なんで片言っぽいの。