初恋パレット。~キミとわたしの恋の色~
 
残り半分は真っ白なページのままなので、このスケッチブックはまだまだ少女の絵で埋まるのだろうと思う。

だけど、それにしても……。


「どうしよう、マジで気まずいねコレ」


興味本位でのぞいてしまったため、その罪悪感でなおさら気まずいのは言うまでもない。


「百ノ瀬、テメェ……」


すると次の瞬間、背後から低く唸るような声が聞こえて、わたしは思わず「ひょぉぉっ!」という奇妙な声を発してしまった。

びくつきながら恐る恐る振り向くと、そこには今にも襲いかかろうかと言わんばかりの形相で仁王立ちをしている、ひとりの男の子の姿が目に入る。

体の横できつく握っている拳は振りかざしはしないもののワナワナと震え、耳まで真っ赤になるほどの怒りをわたしに向けていた。


「あの、ここ、これは……」


とっさに言い訳を考えるけれど、焦りと恐怖で頭がうまく働いてくれない。

だって、わたしを見下ろしているのは、1年のときから悪い噂しか聞かない学校一の問題児――百井夏樹だ。

2年に進級し、クラスの顔ぶれが一新されたのは、つい2週間前のこと。
 
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