雪恋
序章
冷たい小さな無数の欠片。
鋭い風。
息を吐けば、キラキラと儚く光る。
白い世界。
世の中では、これを〈冬〉と言う。
なぜだろう。
冬。というものは、寂しいという言葉じゃ伝えきれないほどの悲しさがある。
期待の春。
騒がしい夏。
落ち着く秋。
そんな季節たちの中、1つだけ言葉に表せない。
毎年毎年くるこの季節。
光を帯び、光る白い結晶は、どこまでも続く広い空から、ただただ優しく降ってくる。
興味のない春。
腹立たしい夏。
急かされる秋。
そんな季節たちの中、1つだけ言葉に表せない。
毎年毎年決まってくる季節。
春・夏・秋。嫌いだ
嫌い嫌い嫌い大嫌い。