ただの幼なじみじゃいられない!
絶対、咲がヒロを忘れられるように、俺が元気づけてやるんだ。
そしていつかは、俺の気持ちをしっかり伝えるんだ。
「…爽太?」
そんなふうに考え事をしていると、不意に横から誰かに呼ばれた。
呼ばれた方向に振り向くと、咲の姿があった。
俺は、咲に軽く右手を挙げた。
「おう、咲。」
咲は、少しまだ目が赤かったけど、1時間目のころよりかは声のトーンが上がっていた。
「こんなところで、なにしてるの?あたしのクラスの女の子待ち?」
そうか…まあ、そう思われるよな。
「あ…いや。そうじゃな…「そーうたっ?」
そうじゃなくて、咲と一緒に帰ろうと思った。と言おうとしたのに…鼻にかかった高い誰かの声に遮られた。