私の思い~きっかけとタイミング~

電話を切ると、先生は私の方を見た。

「俺の知り合いの息子が総合病院で技師をしているんだ。だからこういう無理もきく。これなら会社も休まなくてもいいだろう。」

総合病院はここから車で20分ぐらいのところ。

山本先生は何やら書類を慌てて記入すると、封をした。

「これを受付で渡して。総合病院の方で結果を渡してくれると思うから、またそれをここへ持ってきて。それは今日ではなく、別の日でも良いから。」

そう言ってニッコリと先生は笑った。

「まあ、心配しなくても異常なしだと思うけどね。」

軽い感じで山本先生は笑う。

「じゃあ、行ってきます。」

私もその封筒を受け取ると、慌てて立ち上がった。

「ありがとうございました。」

そう言って診察室から出ると、もう一度受付で説明を聞いてから、車に乗り込んだ。

もう一度ここでレントゲンを撮って、異常なしで終わりだと軽く考えていた私は、思ったより大変な事になったと心の中で焦っていた。
< 10 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop