私の思い~きっかけとタイミング~
静かにそういう井上さん。
「でもネクタイは…。」
私は戸惑いながら聞く。
「今の新田さんはそんな気分じゃないだろう?」
心配ないよと言わんばかりの井上さんの笑顔。
「…ごめんなさい。」
私はそれだけ言うだけで精一杯だった。
「構わないよ。家まで送る。」
井上さんはもう駐車場に向かって歩き出していた。
車に乗ってから、私達はずっと無言だった。
私は何を話してよいか分からなかった。