私の思い~きっかけとタイミング~
「何?デートでもしたの?」

綾子さんの嬉しそうな声。

井上さん、綾子さんを興奮させないで下さい。

厄介なんですから…。

私は井上さんの方を向く。

「おはようございます。昨日はあんな風になってしまって、すいませんでした。」

私は頭を下げた。

「とんでもないよ。とても楽しかった。また誘うからね。」

そうニッコリと井上さんは笑うと、先に歩き出した。

綾子さんは私の方に来て、耳打ちした。

「一緒に歩いて行ったら良いのに。追いかけたら?」

そう言って井上さんの後姿に視線を送る綾子さん。

「…良いんです。」

綾子さんは私の顔を見ると、一瞬顔を曇らせる。

「何だか嬉しそうな表情じゃないよね。」
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