私の思い~きっかけとタイミング~
井上さんにはちゃんと話をして、お断りしなければならない。

きちんと正面から私に気持ちを伝えてくれた井上さん。

だから私もそれにちゃんと答えなくてはならない。

例えそれが良い答えではないとしても。

私は仕事をしながら、今までの事を考えていた。

もし恵太さんが私の前に現れなかったら…。

ううん、もし私がレントゲンで再検査にならずに、総合病院に行くことがなければ…。

ううん、その前に通勤の裏道であんな風に車同士が遭遇していなかったら…。

どこかが違っていたら、行きつく先は井上さんだったかもしれない。

でも…。

結局はその全てが、今は恵太さんに行きつく事を示していた。

「美紗ちゃん、お仕事してる?」

綾子さんが不意に私を呼んだ。

「今、どこか違う世界に頭が飛んでいたでしょう?」

私はそんな綾子さんに笑いかける。
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