私の思い~きっかけとタイミング~
そして恵太さんは助手席から降りると、後ろに乗っている私の荷物を取り出した。
「あっ…。」
私は思わず声を上げる。
「早く行くぞ。」
恵太さんは荷物を持って、マンションの中に入っていく。
私はエンジンを止めて、慌てて恵太さんの後を追う。
すると急に恵太さんは立ち止まり、くるりとこちらを向いた。
そして私の右手を取った。
恵太さんの左手に引かれて、私はエレベーターに乗る。
その扉が閉まると、恵太さんはつぶやいた。
「もう少し一緒にいたいって、美紗は思わないの?」
私は恵太さんを見上げる。
「俺だけドキドキして、この後どうしようなんて考えてるのバカみたいじゃないか。」
少し拗ねているようなその顔。