私の思い~きっかけとタイミング~
そう言って手を挙げてくれた。

二人で店に入る。

井上さんは出張帰りにそのまま来たようで、背広姿だった。

こないだと同じ個室で、井上さんは同じ和定食を1つ注文して、一旦落ち着く。

私は結局何も頼まなかった。

すると井上さんは口を開いた。

「新田さん。俺は来月本社に異動する事になった。数か月前から打診を受けていて、今回の出張でちゃんと返事をして来た。」

そして正面に座る私に目を合わせた。

「もし良ければ、新田さんについて来て欲しい。」

私の想定外の話だった。

まだちゃんとしたお付き合いもしていないのに…。

私は唖然と井上さんを見つめた。

「…もう遅いだろうか。」

私はその井上さんの言葉に首をかしげる。

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