私の思い~きっかけとタイミング~
「仕事が終わってから驚かそうと思って、黙って美紗の家に行った。そうしたら血相を変えて車で出ていく美紗を見たんだ。済まない、ここまでつけて来た。」

そう私に向かって言うと、次は前に居る井上さんの方を見た。

「こないだショッピングセンターでお会いしましたね。俺は森崎恵太と言います。」

礼儀正しく、恵太は頭を下げた。

「総合病院の先生だったよね。」

井上さんが言った。

「正確にいうと医師ではなく、CT技師になりますが。」

恵太がそう言って笑うと、場がほんの少し和んだ。

「新田さんと同じ会社の上司になります井上と申します。」

今度は井上さんが名乗る。

恵太はそれに頷くと、話し始めた。

私達のこれまでの事を。

井上さんはそれを黙って聞いていた。

「もしかすると、俺があなたと美紗の間に割り込んでしまったのかもしれません。」

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