私の思い~きっかけとタイミング~
恵太は井上さんのその言葉を聞くと、立ち上がった。
そして私の腕を取って、泣き止めない私を立ち上がらせる。
それから恵太は深々と井上さんに頭を下げた。
私も慌てて頭を下げる。
そして恵太は私の腕を引っ張り、個室を出ていこうとする。
「新田さん、幸せにね。」
私が個室を出る瞬間、井上さんはこう言った。
「…井上さんも。」
私は振り返って、涙でぐちゃぐちゃだった顔を向けた。
とびっきりの笑顔を乗せて。