私の思い~きっかけとタイミング~
さっきあれだけ泣いたのに、まだ私の中には涙が残っているんだ。
そんな馬鹿な事を考えながら、泣いている事を恵太に気づかれたくなくて、さらに身体を窓の方に向ける。
そして荷物で顔を隠す。
恵太は私の頑なな態度を見て、黙ってしまった。
二人の間に沈黙が続く。
そして車はいつの間にか恵太のマンションについていた。
「降りろよ、美紗。」
恵太が私の顔を覗く。
私は思いきり顔を背けた。
「このままもう一度戻るか?」
恵太は囁くように言った。
「美紗が帰りたいのなら送るよ。」
私はハッとして、恵太の顔を見た。
泣きそうな何とも情けない顔をして、私を見つめる恵太。