私の思い~きっかけとタイミング~
「…せっかく、美紗を手に入れたと思ったのに…。どうして美紗はいつも俺の腕をすり抜けていこうとするの?」

「…自分でも分からないの…。」

私は一瞬目を伏せたが、もう一度恵太の目を見つめた。

「私のする事は、どうしてそうやって恵太の気に障ってしまうの?全然そんなつもりはないのに…。私は恵太が好きで好きでたまらないだけなのに…。」

そして私は鞄から手を離し、恵太の手を取った。

「何がいけないの…?教えてよ。」

取った恵太の手を自分の頬に持ってく。

何も考えていない。

ただ私がそうしたかったから、そうしているだけ。

「美紗。」

恵太は私の頬にある手を首に回した。

そして私は恵太に抱きしめられた。

「ダメだな。俺、美紗に焦ってばかりいる…。ごめんな。」

「ううん。私も恵太にうまく伝えられないからダメなんだよね。」

< 269 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop