私の思い~きっかけとタイミング~

「あれ?津田じゃないか。どうしたんだ?」

恵太はとてもびっくりしている。

「あ…、特に用事があったわけじゃないんですけど…。お忙しそうなので帰ります。すいませんでした。」

彼女は慌てて頭を下げて、その場を立ち去ろうとする。

それを私は引き留める。

「私はしばらく席を外しますから…。恵太、もう一回自分の家に戻るから、彼女の話を聞いてあげて。」

私は恵太に微笑む。

「…ああ、分かった。」

納得がいかないような恵太の顔。

「さっ、立ち話もなんだから中に入れてあげて。」

そう言うと私はその場から回れ右をして立ち去った。

マンションの外に出ると、それを見上げて私は溜息をつく。

かなり思いつめた顔をしていたよね、彼女。

ただの病院の後輩だって言っていたけど本当かな。
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