私の思い~きっかけとタイミング~
何とも言えない安心した美紗の声。
ああ、早く家に帰って美紗を抱きしめたい。
俺は不謹慎な事を思う。
「ところでさ、何で美紗ちゃんはあんなに荷物を持っていたの?」
一登の奥さんは、ふと思いついたように言った。
俺と美紗は顔を見合わせた。
「俺達さ…。」
そう言いかけた俺に、杉浦夫婦の好奇心満々の視線が刺さる。
「結婚でもするの?」
ずばりそんな事を言う奥さん。
「綾子さん…、違うのよ。あの…。」
そう慌てて言う美紗を俺はぎろりと睨む。
「美紗、何が違うんだ?」
俺はムッとする。
「どういう事だ?」