私の思い~きっかけとタイミング~
私達は一登さんに恵太のマンションまで送ってもらった。

恵太と私は車を降りた。

「美紗ちゃん、逃げちゃだめよ。」

綾子さんは私の事をよく分かっている。

「はい。」

私は綾子さんに頷く。

「恵太、お前の誠意をしっかり見せろ。」

一登さんは手を挙げてきつくグーに握って、それを恵太に示す。

「またね。」

杉浦夫婦の車は走って行った。

それを二人で見送る。

すると恵太は黙ったまま、私の右手を取った。

恵太のこの手を離したくない。

そう思うのに、何故か複雑な私の思い。

私は恵太に引っ張られるように、恵太のうちに入った。

< 338 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop