私の思い~きっかけとタイミング~
「だったら…。」

恵太が声を被せて来た。

「お願い、少しだけ時間を頂戴。恵太が悪い訳じゃないの。これは私の問題なの。」

私は哀願するように恵太の胸に顔をうずめた。

「短い時間で、きっと急ぎ過ぎたのよ、私達。」

そして顔を上げると、恵太の顎にキスをした。

「ちょっと立ち止まる事も大事なのよ。」

そして私のキスに驚いた恵太からスッと私は離れた。

「今日は帰るね。」

そして泣きそうな顔をして、私は恵太に笑いかけた。

「送っていくよ。」

「ううん、タクシー呼んで。荷物を持って帰るから。」

恵太は悲しそうな顔をしたが、すぐにタクシーを呼んでくれた。

そして玄関で恵太は私の手を取った。

「美紗が帰って来てくれるのを、この部屋で待っている。」
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