私の思い~きっかけとタイミング~
津田の方はもうすっかり吹っ切れたのか、明るい顔をしている。
「ちょっと田舎に帰ってきました。お土産を買って来たので、森崎先生も食べて下さいね。」
そう言って空いているデスクの上に置いてある箱を指さした。
あまりにも普通の姿の津田に俺は呪いたくなる。
こいつのせいで…。
ついそんな事を思ってしまうが、一番悪いのは俺だ。
今の俺には津田を責める資格もないし、いや、それ以上にそんな元気がない。
美紗と顔を合わせない事がこんなにつらいとは思っていなかった。
俺はかなり重症だ。
自嘲気味に笑ってしまう。
「森崎先生、元気ないですね。彼女さんと何かありました?」
ああ、こいつにだけはこんな心配されたくない。
俺は思わず口を堅く結んだ。
「森崎先生?」