私の思い～きっかけとタイミング～

井上さんは私にではなく、綾子さんに許しを得ている。

「井上さんが美紗ちゃんを元気にしてくれるのなら、喜んで。」

井上さんはそれに対して、苦笑いをする。

「俺の力じゃどうかな？でも男の気持ちは男の方が分かるだろう。相談ぐらいには乗れるよ。それで新田さんがスッキリするのなら、いくらでもお相手するよ。」

本当に優しい人だな、井上さん。

「それに話をしたい事もあるからね。じゃあ、またお昼に誘いに来るよ。」

そう言うと、井上さんはさわやかに去って行った。

やっぱり私の返事は要らないみたいだ。

まるであのデートの時みたい。

「ねえ、美紗ちゃん。」

綾子さんが私を呼んだ。

「どうしましたか？」

私は反射的に答えた。

「恵太君が美紗ちゃんに毎日そんな顔にさせているんだったら、私は井上さんを応援するわ。」