私の思い~きっかけとタイミング~
「ねえ、新田さん。何を迷っているの?」

「いえ、どこから井上さんに話したらいいのか…。」

そう言いかけた私に、井上さんはクスリ笑った。

「違うよ。新田さんはあの男を自分で選んだろう?」

私は井上さんが何を言いたいのか、よく分からなかった。

「君が俺よりあの男を選んだんだろう?それは間違いだったのかい?」

「えっ?」

私はやっぱり井上さんが何を言いたいのか分からない。

「間違いだったら、俺と一緒に本社に行かないか?もちろん結婚して…。」

ん?

私は首をかしげる。

相談に乗ってくれるんじゃなかったの?

「新田さんとあの男の話なんか聞きたくない。とにかくあの男がダメなら、俺がちゃんと新田さんを引き受けるよって事。」

井上さんは今までした事がないような意味ありげな笑みを浮かべる。
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