私の思い~きっかけとタイミング~
俺は少々大げさに溜息をついた。

「奥さんから何も聞いていないのか?」

俺はまずその事が聞きたかった。

「いや、美紗ちゃんの様子がおかしい事に綾子も当然気が付いてるんだが、美紗ちゃんは何も話してくれないらしい。だから綾子の方からも聞いていないみたいだ。」

一登は真面目な声でそう言った。

「あの美紗ちゃんの上司…、確か井上って言ったかな?そいつもかなり美紗ちゃんの心配をしていて、相談に乗っていたらしいぞ。」

俺はそれを聞いて、心穏やかではいられない。

「それで…。」

思わず一登に聞いてしまった。

「うん、何を話したかは綾子には分からないらしいが、だいぶ美紗ちゃんは元気になったらしい。」

一登は何気なく話してくれたが、俺は何かもやもやして、気になってしょうがない。

「お前…、それでいいの?」

一登は低い声で言った。
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