私の思い~きっかけとタイミング~
「引っ越し屋さんを手配してくれたのは恵太でしょ?覚えてないの?」
ハッとする恵太。
そして恐る恐る私の顔を見た。
「じゃあ、どうして昨日俺が掛けた電話に出なかったんだ。」
まだ恵太は興奮しているようだ。
「えっ?電話をくれたの?私、引っ越しの荷物の準備で大変だったから。」
私はスマホを確かめようと、恵太から離れようとした。
「離さない。」
そんな必死の声を出す恵太。
でも恵太もだんだん今の状況が分かって来たようで…。
急に大きな声で笑い出した。
私はそんな恵太を見つめていた。
やがてその笑いがおさまると、恵太は私を離した。
そして私の髪を撫でた。
それはとてもとても優しかった。