私の思い~きっかけとタイミング~
そして私は続けた。

「それを恵太に言いたかったけど、聞いてもらえる状態じゃなくて言えなかったって。」

恵太はバツの悪そうな顔をした。

「でも美紗はあの上司と話をしたんだろう?」

恵太は思いついたように言った。

「うん。結婚して一緒に本社に行こうって言われたよ。」

恵太の表情が曇る。

「それで美紗は…。」

そう言いかけた恵太の口に私は自分の人差し指を当てた。

「その時にね、恵太の顔が浮かんだの。そうしたら井上さんが、正直に恵太から離れられない自分を認めなきゃいけないって言ったの。」

そして私は恵太に微笑んだ。

「人間は追い詰められると、ちゃんと答えが出るものなんだよとも言われた。」

私は自分から恵太にキスをした。
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