私の思い~きっかけとタイミング~
「これでも結構落ち込んでいるんだ。杉浦に新田さんには彼氏が居ない事は確かめたけど、それなら俺にもチャンスがあるんじゃないかと思うのは当然の事だろう?」
そうとも限らないと思うのは、私だけだろうか。
確かにこれだけ仕事が出来る人ならば、結婚相手にうってつけだろう。
でも私は条件だけで結婚相手を決めるつもりはない。
綾子さんの幸せを見ているからだろうか。
相手にはちゃんと私を好きになってほしい。
そして私もその人をちゃんと認めたい。
それは30歳を過ぎた私には贅沢な事なのだろうか。
「とにかく一度食事に付き合ってよ。」
そう笑いながら私を見て言う井上さん。
でもこんな話を聞いた後では、なおさらお誘いは受けにくい。
「まあ、俺の気持ちを聞いてもらえただけでよしとしよう。また誘うよ。
次こそは良い返事を用意しておいてね。」
さわやかに井上さんは去って行った。