私の思い～きっかけとタイミング～
私は何か言いかけたが、井上さんはわざと話を続けた。

「あれだけ忙しいと、分かってない人が手伝いに来てくれても、結局邪魔になってしまう事があるからな。」

頬杖をつきながら私に目を合わせる井上さん。

「びっくりしたよ。こっちが指示した事を即座に理解して、俺達が当たり前と思っているやり方を覆すような違う方法で仕事をやり始めたんだから。」

そんな事あったっけ？

とにかく効率だけを考えてやっていたからな。

井上さん達が当たり前と思っていたやり方すら知らなかったから。

とにかくその時に私が思いついたやり方をしただけだ。

「その話は今でも営業の中では、語り草だよ。まして俺は目の前でそれを見ていたんだからね。惚れない訳がない。」

何気にそっちへ話を持っていくんですね、井上さん。

「それから新田さんの仕事姿を気にするようなってさ。どうしても営業からすると、俺達が会社を支えてるぐらいの気概があるわけ。でも総務の仕事を見ていたら、実はそうじゃないんじゃないかって思えて来てさ。」

確かに、総務の仕事は地味だ。

応援の声が掛かれば、営業以外の部署のお手伝いもする。
< 63 / 382 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop