私の思い~きっかけとタイミング~
卵焼きって甘かったんだ…という、軽いショックを受けたのを覚えている。

「いや、俺の家もこの味。よくそれは邪道だって馬鹿にされたけど、味方がこんな所に居たんだ…。」

ちょっと意外そうに井上さんは言った。

「味方って…、大げさですね。」

私は井上さんの顔を見て思わず笑った。

「やっぱり実は俺達合うんじゃない?」

そんな様子の井上さんと私を綾子さんは見ている。

「ねぇ、私の居ないうちに二人に何かあった?」

綾子さんは不思議そうな顔をしている。

「美紗ちゃんは井上さんの事、嫌っていたよね。」

「何言ってるんですか、綾子さん。」

私は綾子さんのあまりにもそのままの物言いに慌てた。

嫌いって…、さすがの私でもそんな事は言っていませんよ、綾子さん…。

「やっぱり俺は新田さんに嫌われていたんだ。」

苦笑いをする井上さん。
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