私の思い~きっかけとタイミング~
美紗side
今日は定時でそそくさと帰って来た私。

金曜日の夜に予定もない。

帰る時、井上さんが何か言いたげだったが、休みの約束を断られると思ったのか、こちらに寄ってこなかった。

ただ入口そばに立っていた井上さんの横をすり抜けようとした時、囁くような声で言われた。

「日曜日はよろしく。」

井上さんは営業部へ戻って行った。

私の返事はやはり聞くつもりはないらしい。

このまま日曜日に迎えに来るつもりなんだな。

私は肩を竦めると、そのまま会社を出る。

どうしても通勤でこの裏道を車で走ると、彼を思い出す。

オレンジの車はもちろんだが、今はあの声が耳から離れない。

「一度連絡を下さい…か。」

そうぼんやり考えながら、私は家に車を走らせる。

そして自分のアパートに着くと、駐車場に車を止めた。
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