斬華
 素早く宗助は、抜いた刀を一瞬で納刀する。
 そしてその低い姿勢のままの寄り身で華の傍まで行き、彼女を拘束している男の前で抜刀する。
 しゃっと宗助の刀が、男の脛を斬り裂いた。

「ひぃっ!」

 堪らず男は、華を離して蹲る。

「華ちゃん、下へ!」

 由之介の言葉に従い、華は階下へ走った。
 それを見届け、改めて由之介と宗助は、男たちと向き合った。

「こんな祭りの最中やっちゅうのに、全くご苦労なこっちゃ」

「京は千年魔都やで。風情を解さん無粋者は祟られるで」

 由之介と宗助は、それぞれ構えをとる。
 宗助は腰を低く落とした抜刀体勢。

 由之介は真っ直ぐ立ったまま、ゆっくりと抜刀した。
 刀身を引きつけ、腰を落とす。
 突きの構えだ。

 一瞬、男たちが怯んだ。
 二人がそれなりの遣い手だと気付いたのだろう。

「……かかれ!」

 掛け声と共に、一斉に男たちが二人に飛び掛かる。
 とはいっても、一人は先程宗助に倒された。
 今一人も脛を斬られ、そうそう動けない。

 残るは三人だ。
 二人対三人であれば、大して差はない。

 このままだと、そのはずだった。
 だが、どやどや、と階段を駆け上がってくる足音。
 顔を強張らせて振り向いた男が、ほっとしたように表情を緩めた。
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