斬華
「ぐう!」

「ぎゃあっ!」

 叫び声と血が飛ぶ。
 踏み込んできた男らが倒れたときには、宗助の姿はそこにはない。
 抜刀と共に相手を斬り、そのままの勢いで斬り進む。

 居合は抜いたら相手を倒し切るまで止まらない。
 宗助は目に映る人影をひたすら斬りながら、前へ進んだ。

「りゃあ!」

 由之介は相手を殺すことには拘らず、とにかく相手の動きを止めることに専念した。
 手を斬り、目を突く。

 可能であれば、首の血管(ちくだ)を斬っていった。
 これであれば、突き刺さなくてもいい。

 刀の切っ先だけを使って、首の横を前から突く。
 突き刺さってもこれぐらいであれば、そのまま刀を横に振れば、血管と共に首の三分の一ぐらいが斬れる。
 引き抜く手間が省けるわけだ。

 部屋の中の何人かを倒した後で、由之介は窓を引き開けた。
 手すりを乗り越えたとき、階下から華の悲鳴が聞こえた。

「宗さん!!」

 はっと、由之介は振り向いた。
 宗助がやられたのだろうか。
 が、ここでまた中に戻れば己の身が危うい。
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