いきなりプリンセス
「……そろそろ戻ろ…」
もう一度折れた枝に目をやって、その場を後にした。
「どっこらせっと…」
「ユナ…お前はどこから入ってくるんだよ…」
「え?」
窓から入った私に声をかけてきたのはお兄ちゃんだった。
「お兄ちゃん………フリージア、綺麗だったでしょ?」
ニヤニヤしながら言うと、お兄ちゃんの顔はまたしても真っ赤になった。
「惚れた?惚れた?」
「うるさいバカ………さっさと支度しろよ。」
お兄ちゃんは真っ赤な顔のまま颯爽と歩いて行った。
もしかしたら…こっちのお兄ちゃんとは、もうサヨナラかも…
「お兄ちゃん!!」
「なんだ?」
振り返ったお兄ちゃんは、もう元の顔色に戻っていた。
「…バイバイ!!」
「…?……あぁ……気をつけて行けよ。」
いや…そうじゃないんですけど…
「ま…いっか。」