ねぇ、聞いて。
「お前、変な奴だな。
1年ならなおさら、俺と目さへ合わすやつはいねぇよ。」
そう言った男に乾いた笑いしか出なかった。
「だって、知らなかったし。
昨日初めて見たから。学校でも集会でも見たことないから学校来てなかったのかなって思って…」
そう言うと、
「あー、俺いつも空き教室で仲間といるか一人で屋上にいるから。見たことない方が普通かもな。」
そう言った男は何だか悲しそうな顔をしているように見えた。
「ねぇ、笑ってよ。」
そんな顔しないで。そんな泣きそうな顔しないで…
私は気づくと立ち上がって男の頭を抱え込むように抱きしめていた。
男の身体がピクッと反応したのが分かった。
「大丈夫だよ。」
そう言って頭を優しく撫でた。
何してんだろ私…
勝手に体が動いてた。
男から離れると男は切なくて優しい笑みを浮かべた。
「ありがとな。」
そう言って頭をガシガシ撫でてくれた。